RPAが「できること」と「できないこと」を理解すれば、活用できる!(vol.8)

2021.12.27

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、ヒトが行っている業務を自動化するツールとして多くの企業で活用され、工数削減や時間創出など実績も出しています。しかし、RPAは全ての業務を自動化するツールではありません。むしろ、RPAで自動化するのに適した業務は限定的です。本記事では、RPAで「できること」と「できないこと」を紹介し、RPAが自動化するのに適した業務を解説いたします。

そもそもRPAってなんだっけ?AIやExcelマクロとどう違うの?

  • RPAとは?
    RPA(Robotic Process Automation)とは、ヒトがパソコンを使って行う業務を自動化するソフトウェアです。ウェブサイトや社内システムの閲覧、Excelやメールの作成など、パソコン上で行われる操作を自動で実行できます。
  • AIとは?
    AI(Artificial Intelligence)の定義ははっきりと定められていないのが現状ですが、人間が脳で行う判断や学習などを人工的に再現する技術です。翻訳や車の自動運転などに使われています。人間の部位に例えると、AIは人間の「脳」にあたる役割を、RPAは人間の「手足」にあたる役割と例えられます。
  • マクロとは?
    IT用語におけるマクロとは、「関連する複数の操作や手順、命令などを一つにまとめ、必要に応じて呼び出すことができるようにする機能のこと。」を意味します。(IT用語辞典よりhttps://e-words.jp/w/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD.html)
    マクロはVBA(Visual Basic for Applications)と呼ばれるプログラミング言語によって作成され、ExcelやWord、PowerPointなどの操作をまとめて処理することが可能です。
    定型的な業務を自動化し、人の代わりに実行するという点はRPAと同じです。
  • AIとRPAの違い
    AIとRPAの違いは、「学習できるか否か」です。AIもRPAも単体では何もできません。ただし、AIは、膨大のデータを学習し、規則性やルールをAI自身でみつけてその規則性やルールを元に与えられたデータを分析したり、予測したりすることができます。一方でAIは膨大なデータを学習させる必要があるため、そのデータをAIが学習できる形に整形したりする専門知識が必要になります。導入するコストもかかってしまいますので注意しましょう。

RPAは膨大なデータを与えても自身で学習はできず、予め指示されたことしかできません。そのため、動作環境が変わるなどすると、その変化を認識できず、想定通りに動かないことがあります。一方で、簡単な業務であればプログラミング知識がなくても作成可能なため、AIと比べて導入コストは低く抑えられる傾向にあります。RPAは膨大なデータを与えても自身で学習はできず、予め指示されたことしかできません。そのため、動作環境が変わると、その変化を認識できず、想定通りに動かないことがあります。一方で、簡単な業務であればプログラミング知識がなくても作成可能なため、AIと比べて導入コストは低く抑えられる傾向にあります。

  • マクロとRPAの違い
    マクロもRPAもパソコン上で行う単純な操作を自動化するという点では同じツールです。違いは、自動化できる対象の幅にあります。マクロが自動化できるのはExcelやWordなどのMicrosoftのアプリケーションのみですが、RPAはそれらのアプリケーションの自動化の他、Webサイトの操作(クリックなど)も自動化可能です。また、マクロを作成するにはVBAでのプログラミングが必要ですが、RPAは必ずしもプログラミングをする必要ないため、RPAの方が作成しやすいという違いがあります。

RPAでできることってなに?

RPAは人間がパソコン上で行う操作のほとんどを自動化することが可能です。一般的に人間が行うよりもRPAに向いているといわれている対象の業務は、「手順が決まっている単純な定型業務」です。理由は、RPAは予め手順が決められた処理を、人間よりも正確に高速に実行することが可能だからです。しかしRPA化する対象を「業務」の単位で考えようとすると、なかなか向いている業務が見つからないかもしれません。そのような場合は「業務」を「処理」に分解して考えてみると、業務の一部でもRPA化できる部分が見つかりやすくなります。RPAに向いている処理は主に以下の6つです。

  1. 転記:Excelやシステムに登録されているデータを別のアプリケーションに転記する
    例)会計システムに記録された数字を営業管理システムに転記して登録する。
  2. 照合:データを比較して差異がないかをチェックする
    例)社員からの立替申請金額と請求書に記載されている金額を比較し、差異がないかチェックする。※この例では、請求書に記載されている金額の読み取りはAI-OCR(紙やPDFなどに記載されている文字情報を読み取り、データ化する技術)の利用を想定しています。
  3. モニタリング:予め規定した基準から逸脱するデータを検知した際に通知する
    例)社員に対してストレスチェックアンケートを定期的に行い、異常値を検知したら人事や健康管理室にメール通知する。
  4. 送付:情報をメールなどで送付する
    例)決められたフォームから送付されるログインID照会メールを受け取ったら、データベースを検索し、送信元に対してそのIDをメールで通知する。
  5. 集約・加工:必要なデータを収集し、任意のフォーマットに加工する
    例)複数人で作成・蓄積したデータの表記ゆれの統一、不適切な表現の削除、誤字の訂正等を行う。
  6. 入力:システムやWebサイトへの入力処理を自動で行う
    例)決められたフォーマットで申請される入力内容を、システムやデータベースに登録する。

RPAでできないことは?

RPAは、予め想定している環境下であくまで指示されている操作を愚直に実行することしかできません。よってRPAはAIのように自分で学習し考え、判断ができません。

もし、自動化したい業務に人の判断が必要であれば、人の判断が必要な処理までをRPAにさせたり、AIと組み合わせたりといった工夫が必要になります。

また、ブラウザやアプリケーションのバージョンアップによって操作対象の製品仕様が変わってしまったり、操作対象のWebサイトが更新されてボタンの位置などの見た目が変わってしまったりすると、RPAは想定通りに動いてくれません。

RPAの自動化に慣れてきたら、環境の変化を見越した作り方をしたり、想定通りに動かなかった場合の運用を予め定めておくとよいでしょう。

RPAで「できること」と「できないこと」 まとめ

RPAは、AIのように自分自身で学習して何かを判断したり予測したりすることはできません。しかし単純な定型処理であれば、マクロよりも比較的簡単で、かつ対象を広げて自動化できるツールです。作業手順が決まっている単純な定型業務や繰り返し業務を人間が行うのではなくRPA化することで、即効性のある業務効率化が可能です。

しかし、RPAは環境の変化に弱く、複雑な処理を行うためにはプログラミングの知識や技術が必要になります。RPAが「できること」と「できないこと」を理解すれば、RPA活用に近づくのではないでしょうか?RPAが得意な処理をRPA化することで、業務効率化と生産性の向上の一助となれば幸いです。

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